湯浅誠 氏

みんなが人間らしく暮らせる社会を目指して

~貧困問題に対する今後の取り組み~

スローガン風に言うと「みんなが人間らしく暮らせる社会」というのを目指しているわけですが、そんな理想論を語っても現状は改善しないわけで、目の前にあることに地道に取り組むしかないと思っています。具体的に今取り組んでいることの一つに「パーソナルサポートサービス制度」というのを実施するための仕組みを整備するという仕事があります。それはどういうものかというと、現行の保障制度、例えば障害者に対する保障、雇用保険、生活保護といったのもがありますが、そういう制度には埋めきれない隙間があります。この隙間を埋めていたものが家族であったり、友人であったり、地域のつながりであったりしたわけですが、そのような隙間を埋めてくれるものを持たない人が保障の隙間に落ち込んでしまって貧困問題になっているわけです。では、そういった家族、友人、地域が埋めてきた領域を公的に埋めることができないか、そういう発想の個別支援が「パーソナルサポートサービス制度」です。2010年の秋には5つ、2011年度には約20のモデル事業の実施を予定しています。

MESSAGE FOR READERS

人はそれぞれスキルとか技能、能力を持っていて私はそういうのをひっくるめて「溜め」と呼んでいるのですが、それらは自分の努力で身につけた部分があるにせよ、けっこう大きい部分が環境要因に影響を受けていると思います。言いかえれば、そういう技能や能力を身につけたということは、社会的恩恵の享受の一つだと思うんです。周りの環境に付与してもらった能力なら、私はその環境(社会)のために使うべきだと思うんです。法曹業界ではプロボノ(pro bono)なんて言葉を使うんですが、これは例えば弁護士であれば、弁護料を払うことができない人のために年に数回ほど無償で仕事を引き受けるというようなことです。これと同じようなことをデザインとかITとか何でもいいですけどほかの分野でもやってもらうといいと思います。皆さんはこれから色々なスキルなんかを身につけることと思いますが、それを社会のために使って欲しい。それも、高い能力を高いお金で購う人にだけというのではなくて、それではその高い能力は社会の全体には行き渡らないわけで、社会全体のために能力を発揮してもらいたいと思います。そうすれば世の中もっと生きやすくなるんじゃないかな。

関係サイト

湯浅誠 (yuasamakoto) – Twitter
自立生活サポートセンター・もやい
反貧困ネットワーク

Page 1 Page 2

あわせて読みたい「政治」の関連記事