岡島悦子 社長

経営者育成のための「ジャニーズ事務所」のような場を

どのようなことにも当てはまると思うのですが、とにかくやってみる、ということは大事です。プロの経営者になるためには、自分で実際に経営をやってみなければ、いくらMBAの学位をとり経営の知識があるといってもだめなんです。「経営がわかるようになる」のと、「経営ができるようになる」の間には、すごく大きな溝があります。まず、どこかでトライしない限り、いつまで経っても経営のプロになんてなれない。実はそういう意味では、ジャニーズ事務所には学ぶべきグッドなシステムがあるんです。ジャニーズ事務所の後輩であるジャニーズ・ジュニアは、先輩のステージの後ろで踊れるから、若いうちから舞台に出る機会があるわけです。ジュニアのうちから舞台での経験を積んでいるから、潜在能力を認めてくれる人も出てくるし、自分たちがメインになって舞台に上った時も、うまくこなせるようになっている。そうやって、ちゃんと登竜門が存在しているんですよ。私もそんな風に、沢山の優秀な人が、早いうちから自分で実際に経営を経験できる場を日本に作りたいんです。日産のように、すごく優秀な方がいる会社でも、フランスの会社からカルロス・ゴーンさんという社長が送られてきますよね。そのことからも分かるように、日本はプロの経営者の層がものすごく薄いんですよ。日本の経営の世界では、早くから経営の舞台に上げてもらえる機会が少なくて、プロの経営者が育ちにくいんです。私は自分の使命として、日本のプロの経営者の層を増やしたいと思っています。それが日本の国力を強くするとも思いますので。

リーダーに必要な素質

会社がどのような状況に置かれているかによっても全然ちがうんですけど、大きく言うとリーダーに求められる素質は2つあります。1つは、業績を作るための戦略を立てられるかという点。もう1つは、特に大事なのですが、人を育てられる人なのか、という点。私が行っている人材紹介サービスでは、もともといた会社から、ある程度高い職位で違う会社に入っていくので、必ずしも移った会社の人たちから歓迎されないことがあるんですね。そのように、受け入れ側の人たちが心を閉ざしてしまっているなかで、どうやってその人たちの心を開いていくかといったことも、リーダーシップとして求められているわけです。だから、すばらしいリーダーというのは、自分と一緒に働いている彼ら、彼女らが、どうして、今、辛い状況に追い込まれているのか、それならば、どうすることでこの人たちがうまく働いてくれるか、というのをよくよく考えて、やっていける人。つまり、リーダーには、人間的な器はあって然るべきなんですが、それ以上に、その人の立場に立って考える意識、つまり相手に対する好奇心というものがないと、いくら財務的な計算ができても、よい戦略が作れても、全然だめですね。外から来てもらう人は、戦略構築以上に、人に対する好奇心、組織に対する好奇心、今までの社風に対する尊敬を抱くことが大切で、そういうものがないと誰も付いて来てくれない。気付いて後ろ振り向いたら誰もいないっていう裸の王様になってしまうんですね。

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