加藤大基 医師

東京大学医学部付属病院 放射線治療医 / 加藤大基 氏

1971年生まれ、医師。東京大学医学部卒業。国立国際医療センター、癌研究会付属病院、東京大学医学部付属病院などで放射線治療医として勤務。2006年に34歳の若さで肺癌患者となる。著書に「東大のがん治療医が癌になって」がある。

医師を志した理由

僕が高校生のときに、医者が患者さんにひどいことを言った、などという、ドクターハラスメントに関する報道が多く取り上げられていました。そういうのを、聞くたびに、自分だったらもうちょっと違う接し方ができるのではないか、そういったことを考えたのです。医療にものすごく興味があったわけではないのだけれども、そういったとこで、なにか手助けができることがあればと思ったのです。今から見ると、当時はほとんど、業務の内容なんてわかってないのですよ。なんとなくテレビで見たとか。自分がそんなに大きな病気にかかったことがあるわけじゃないし、せいぜい、外来で接したくらいだから。実際はやはり、これは人間として当たり前かもしれないけれど、困っている人をみると助けたい、とか、そういった誰しも持っていると思う気持ちに加えて、そのころによくドクハラのことが特集されていたってことが最大の理由で医師を目指しましたね。そして、実際に医師になってみると、やりがいは当然あって、治療が成功したときに本人やご家族の方から感謝されるのは医者冥利に尽きるし、逆に亡くなってしまう人も少なからずいますが、そういった方に居心地のいい状況を作るのも医師の役割だと思って努めています。

がん患者になってみて

僕のがんは、内視鏡などの検査では取りにくい位置にあったため、手術してみて初めてがんだと確定されました。その前のレントゲン検査で、影の形から転移がんの可能性があり、もし転移がんだったら早ければ余命が1年とか、とても短いスパンになってしまう。そのことでやはり死を意識しましたね。でも転移ではなく、原発のがんだとわかり、手術で取り除けたので少しほっとしました。また、僕の肺がんは比較的小さな方だったんですが、やはり再発の可能性もあるわけです。がんは一般に5年再発しなければ大抵は大丈夫なので、手術から2年経った今、あと3年はがん患者であることを意識せざるを得ないと思います。また、自分ががん患者になったからといって、がんにもたくさんの種類や状態があるので、すべてのがん患者さんの気持ちがわかるわけでは決してありませんが、手術後の経過観察中であるような同じ状況の患者さんとは非常に共感できます。それに、自分が患者になってみて、強く思ったことは、医師の言葉の重み、です。患者は医師の言葉に一喜一憂しますから、そういう面で言葉遣いにはいっそう細心の注意をはらいたい、と今では心がけています。

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掲載:2008年09月09日   category:医療

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