伊勢崎賢治 教授

国際関係に興味を示す若者

今の若者は僕は昔の人よりは断然いいと思いますね。事実、国際情勢に真剣に興味を持って、自分の人生をそれにかけようという若者が、数的にいうと、僕とか僕の上の世代のときの若者の数に比べると、断然多いですね。今、多くの大学で国際協力のための特別講座をやっているけど、あれは若者のニーズがあるからですよ。ボランティアとかNPOとかね。ところが、卒業して、職につけないわけですよ、そんなに甘くはないですから。僕がいたのは欧米のNGOだから自由競争で、民間の世界だから給料が多く払われたけど、日本のNGOはまだまだそのような構造ができていない。実は我々大人たちは学生のニーズに応えられるような、受け皿を未だにつくっていないんだね。いまだに海外青年協力隊から帰ってきた人間を差別するような社会構造になっているわけですから。お前外国から病気をもって帰ってきたんじゃないのか、という風にね。だから、われわれは、それに理解を示して、社会構造に受け皿を作っていかないといけないと思います。そういったこともあり、国際情勢に興味がある人には、今の日本では無理だから、外国に行ったほうがいいといっています。修士をとるなら日本よりも、外国の方がいいと。そのほうが、卒業後につながるからね。いわゆる機会が日本よりはかなり多くあるからね。もしくは、学部生にかんしては、いったん日本で就職したほうがいいといっています。そこで財力つけて、どんな嫌な上司の、言うこともきいて、もまれて、30ぐらいになってから、人生変えるために大学院に入りなおす。それから、次のステップで国連とかJICA(ジャイカ)とか国際機関を目指してもいいじゃないかと。欧米人はそうしている、全然遅くないんだよ、30代からはじめたとしても。そういうふうにアドバイスしています。特に日本ではこれは大切なことかもしれない。少なくても10年くらい働いて、民間でお金ためて、30くらいになって人生変えればいいと思いますよ。

MESSAGE FOR READERS

今の若者はグローバルで考えすぎるんだと思います。それはある意味で優しすぎるのかもしれない。自分以外の人たちに対して、環境とか、グローバルなものに対して、理解がありすぎちゃうのかもしれないなと思います。でも、自分の幸せと世界の幸せを、できるだけつなげようという努力が真っ当だとしたら、やっぱり自分の国益や、自分の幸せがなんなのかを考えないといけない。なぜなら、国益という自分の足場がしっかりしないで、世界益のことは考えられないと思うからね。だからといってそれだけじゃいけない。国益と世界益のバランスを考えなきゃいけない。日本は第二次世界大戦で大変悪いことをしました。保障も全然やっていないと思います。それは事実だよね。でも、あまりにも、自分たちを否定することが目的で国益という概念さえ受け入れられなくなくなってしまっている。この立ち位置、つまり国益がなかったら、どうやってグローバルな問題を考えられるのか不思議に思うよ。だって、どんな国でも、どんな時代でも、基本的にわれわれの血税を使うのだから。国民の大半はアフリカで起こっていることよりも、やはり自分の国内問題、自分のまわりの地域の問題の方が大切なわけですよ。それはしょうがないじゃない。だから自分たちの身の回りのことを前提にして世界で起きている問題をどう縮めていくか、そのバランスでしょう。そこをうまく考えてやっていかないといけない。いまの若い人たちは、外のことばっかり考える。グローバルな問題を考えるのはいいですが、意識が高すぎて、自分が食えなくなっちゃっていると思います。

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